しなやかに生きる

五月の言葉

しなやかに生きる

禅の世界では「しなやかに生きる」ことを大切にしています。
「柔軟心」といいます。「観音経」の質直意柔軟(しつじきいにゅうなん)を母体にしています。

曹洞宗を開かれた道元禅師が中国の如浄禅師から禅の教えを受けて帰国されたとき、「柔軟心」を学んできた。といわれました。
如上禅師の教えのすべてが「柔軟心」であったということです。

例えば、水は方円に従うというように、どんな器にも収まります。
竹や柳、風鈴も、東西南北の風を選ばず、しなやかにその風を受けます。
形を選ばない、風を選ばない。
柔軟に「あがらわない」生き方です。
自我、執着、偏見にとらわれた心は、硬直しています。
そのため、自分を主張するばかりで他人を受け入れられなかったり、物事を一面的にしか見られなかったりするのです。
そこをはなれると、心は柔らかく、しなやかで、自由になります。
「飾らず、構えず、偏らず」こだわらないで、より大切なほうへ目を向けるのが「柔軟心」です。
人間関係も円滑に、視野もグッと広くなります。
「柔軟心」でしなやかに生きましょう。
酒井大岳老師