2020年5月
ジャングルのサイから学んだこと
2020年
5月
12日

ネパールのチトワンという所の大きなジャングルに住むサイの話です。
角が一本のインドサイは、もう生きられないと思うと、自分の子孫を集めて、
自分は身を横にして、体を回転させて穴を作ります。
子孫がいつでも水を飲めるようにと、水溜を作るのです。
雨季が四か月、乾季が八か月。
動物たちは乾季も半分過ぎたころから次々と死んでゆきます。
でもサイの子供たちは死にません。
なぜなら水溜にたまった水がたっぷりがあるからです。
水溜には落ち葉が溜まって、水の蒸発を防ぎます。
集まった子孫たちは、水溜の作り方を覚えて、自分が老いたときに、同じことをして、次の世代に伝えます。
こうして、サイは何万年も生き次いできました。
その水溜を作ったサイは、どこからも見えないジャングルの深い所へ行って、息を引き取ります。
その水溜の水はサイだけが飲むのではなくて、ほかの動物にも飲ませてあげます。
子孫のためだけではなく、ほかの動物の命をも救います。
サイのように生きたら、戦争は起きないでしょう。
道元禅師の正法眼蔵随聞記にこのような言葉があります。
「誰が為とも思わざれども、人の為に良からんことをしをきなんどするを誠の善人とは伝ふなり」
誰々のために、思わなくていいというのです。
いずれ誰かのために役立つだろうな、と思ったら、それを行えばいいという教えなのです。
もし自分にできなかったら、ほかの人が良いことをしたときに共に喜ぶことができたら、それは良いことをしたのと同じであると、仏典は教えています。
もみじの種
2020年
5月
5日

もみじシリーズです。
この時期もみじの緑が鮮やかです。
前回は石の間から出てきたもみじの赤ちゃんを見ていただきましたが、今回は地面に落ちる前の種のもみじです。
この種が秋に熟して、冬に落ちて来年の春に子供になってやってきます。
もう来年を楽しみにしています。
お母さんのもみじもだんだん立派になって年々たくさんの種をつけてくれます。
今は鉢に植えていますが、地面に植えてもよいことになりました。
秋に植え替えをしようと思います。
太く大きい紅葉になってほしいです。

瑞兆(ずいちょう)
2020年
5月
1日

5月1日早朝
画面ではわかりにくいですが、赤と光沢のある青と深いグレーのとてもきれいな鳥が・・・
林泉寺の本堂の屋根に10分位留まっていました。
これは瑞兆です。
これからたくさん良いことがありそうです。
新型コロナウィルスも早く収束するとよいと思います。
※瑞兆とは良いことめでたいことのある前兆。
しなやかに生きることを大切に。
2020年
5月
1日

五月の言葉
しなやか
禅の世界では「しなやかに生きる」ことを大切にしています。
「柔軟心」といいます。「観音経」の質直意柔軟(しつじきいにゅうなん)を母体にしています。
曹洞宗を開かれた道元禅師が中国の如浄禅師から禅の教えを受けて帰国されたとき、
「柔軟心」を学んできた。といわれました。
如上禅師の教えのすべてが「柔軟心」であったということです。
例えば、水は方円に従うというように、どんな器にも収まります。
竹や柳、風鈴も、東西南北の風を選ばず、しなやかにその風を受けます。
形を選ばない、風を選ばない。
柔軟に「あがらわない」生き方です。
自我、執着、偏見にとらわれた心は、硬直しています。
そのため、自分を主張するばかりで他人を受け入れられなかったり、物事を一面的にしか見られなかったりするのです。
そこをはなれると、心は柔らかく、しなやかで、自由になります。
「飾らず、構えず、偏らず」こだわらないで、より大切なほうへ目を向けるのが「柔軟心」です。
人間関係も円滑に、視野もグッと広くなります。
「柔軟心」でしなやかに生きましょう。
酒井大岳老師